2013年12月4日水曜日

ベトナム工場(ロンドウック工業団地)の話しは乗るべきか?

11月2日に開催された「関西を元気にする国際フォーラム」で、近畿経済産業局通商部国際事業課の担当者が、近畿地域の中小企業の海外展開支援業務について説明をした。
その説明によれば、近畿経済産業局とベトナムドンナイ省とが、ドンナイ省において、関西の裾野産業が集積するモデル事業を推進するために双方で協力を行う、具体的には、関西の中小企業がロンドウック工業団地への進出のサポートをする、とのこと。日系企業が現地で抱えるビジネス課題の解決を図る「ドンナイ省関西デスク」も設置されたとのことだった。
要するに政府が、関西の中小企業がベトナムに工場を作るのを支援するというものだ。

ベトナムは中国と比べても人件費が安いと言われている(実際にデータもある)。

さてこの企画、近畿経済産業局の話しを聞いていると、よいことのように聞こえるのだが、本当にそうだろうか。先日の瀧本哲史先生が講演で言われたことととあわせて考えてみよう。

瀧本先生の話しには、
日本企業のアジア進出の多くは失敗に終わっている。
P社がマレーシアに工場を移転させたため、P社と取引きをしていた関西の中小企業は仕事がなくなった。
関西の中小企業が海外に移転すると、大阪から産業が減り、大阪の空洞化が促進される。
という情報が含まれていた。

これらを総合して考えると、近畿経済産業局がいたれりつくせりで関西の中小企業にベトナムの工業団地に工場を作らせるのは、P社の移転で仕事がなくなった大阪の中小企業の問題をベトナム工場の提案をすることで当面の解決とする、一方、ベトナム工場が事業として成功するかどうかはかなり怪しい、さらに中小企業が出て行った後の関西経済はさらに落ち込む、ということになる。
これは、「関西を元気にする」事業か?

ただし、海外進出が必ず失敗するというわけでもない。瀧本先生の講演から成功するための要因を拾うと、事前に調査し、計画をたて、契約交渉をきちんとし、事業の終わらせ方を契約前に考え、事業がうまくいかなかったときの手当をしておく、ということになる。

瀧本先生曰く、
「授業料と思って」という社長が多いが、不必要な「授業料」は払う必要がない、事前にちゃんとした専門家に相談しよう。

また、こうも仰っていた。「流行だから、同業他社が行くから、という理由で行くと失敗します。」

行くか、行かないか、むつかしい経営判断だ。信頼のおける相談相手となる専門家をまず見つけることか。

0 件のコメント:

コメントを投稿