2014年6月13日金曜日

インターネット広告の地域を制限する判決

昨日の友新会不正競争防止法研究会で取り上げられた判決の主文がちょっと不思議な感じがする。

東京地裁判平成25年11月21日判決商号等使用禁止請求事件
主文
(1) 被告は,各種広告,インターネットのホームページ,事業案内, 営業用パンフレット,営業用封筒,便せん,社員用名刺及び看板等 に表示する又は新聞雑誌等の記事として掲載させる等の方法で,老 人介護に関連する事業の営業表示として,「メディカルケアプラン ニング」又は「MEDICAL CARE PLANNING」(小文字の表記を含む。)の名称を使用してはならない。
(2) 被告は,関東地方(東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県,茨城県,栃木県及び群馬県)において,前記(1)記載の方法で,老人介護に 関連する事業の営業表示として,「株式会社MCP」の商号及び別紙標章目録(2)記載の標章を使用してはならない。

(1)はわかるのだが、(2)は前記(1)の方法で関東地方において商号、商標を使用してはならない、となっている。前記(1)の方法には、「インターネットのホームページ」が含まれている。

つまり、(2)は地域を限定してインターネットのホームページで商号、商標を使用してはならないとされている。

インターネットのホームページ上の商号や商標の表示を一定地域で閲覧不能にする方法はあるのだろうか?

この主文を見て思い出したのが、国際取引における地域限定独占販売契約におけるインターネットによる広告の扱い。

アメリカの会社が欧州各国のそれぞれの会社と独占販売契約を締結し、欧州各国の会社は自国以外でactie salesをしてはいけないとの内容が契約に含まれていた場合に、インターネットで広告すると条項違反となるか。

Prof. Dodgeの国際取引法のクラスで、インターネット広告はURLに付されている国名で判断する、と聞いた記憶がある。
.jpなら日本における広告であり、.ukなら英国での広告となる。
仮に.jpのページが韓国語で書かれていて明らかに韓国向け広告であっても、そのような事情は斟酌されない、ということだった。

アメリカならそうだろう。
英語で書いたら英国向け、スペイン語で書いたらスペイン向けと言われても困る。
それではこのルール、日本でもこれでよいのだろうか?

仮にこのルールが日本でも妥当するとして、最初の問題に戻るが、日本国内の地域限定インターネット広告というのは、やはりおかしい。
日本国内一律に.jpで、.kanntoとか.hokkaidoというのはないと思う。

形式的に過ぎるのか、法律が現実と乖離しているのか、あるいは何か誤解があったのか。
(原告の請求は地域を限定していないので一部認容判決)
広告禁止の地域を制限してもらっても被告としてはあまり嬉しくないと思う。