2014年3月13日木曜日

技術海外流出で逮捕状の記事(不正競争防止法)

朝刊に、東芝の技術(営業秘密)が従業員に持ち出され、外国企業に流出したことで逮捕状が出されたとの記事。


記事によれば、東芝と技術提携をしていた半導体メーカーの元技術者が、東芝の工場内でデータをコピーし、その後韓国企業に転職し、データーを転職先に提供した疑いがあるとのこと。

不正競争防止法21条が適用されたのだろう。

不正競争防止法でデーターが保護されるためには、「営業秘密」である必要がある。

ある情報が「営業秘密」であるとされるためには、

1 秘密として管理されていたこと
2 有用な情報であること
3 その情報が公知のものでないこと

のすべての要件を満たしている必要がある。

有用でかつ秘密の情報を有していても、誰でも簡単にアクセスできるような管理をしていては、盗まれても「営業秘密」が盗まれたという扱いにはならない。

「営業秘密」の開示を受けた者が一定の行為をしたときには、10年以下の懲役、1000万円以下の罰金という規定が置かれている(21条)。

21条1項には営業秘密の侵害について1号から7号まであるけど、記事からすると、これかな?

3号
営業秘密を保有者から示された者であって、不正の利益を得る目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、次の方法でその営業秘密を領得した者
ロ 営業秘密記録媒体等の記録の複製の作成

7号 
不正の利益を得る目的で2号で営業秘密を取得し、その営業秘密を使用し、または開示した者

記事によれば営業秘密を持ち出したとされるのは福岡県内の50代男性。2008年ころにコピーして持ち出し、韓国企業に転職したが、現在は韓国企業も退職、とされる。

韓国企業に転職し、持ち出した営業秘密を開示した後、数年で退職して日本に戻った?

転職の誘いをかけ、営業秘密を持ってくれば多額の報酬を払うという話だったのか、あるいは、勤務先を解雇されることを予想し、営業秘密を持ち出して転職に利用しようとしたのか?

従業員の解雇、転職の際に営業秘密が持ち出されないよう管理するのは困難。
秘密としてきっちり管理をしていても、それをすり抜けてコピーがなされてしまう。

そもそも営業秘密がコピーされ、持ち出されたことを証明することさえ容易ではない。
どうやって発覚したのだろう。

ちなみに、新日鐵がポスコに営業秘密を盗まれたときは、ポスコが中国企業に営業秘密を盗まれた事件の裁判で、中国企業が、盗んだ情報はポスコの情報ではなく、ポスコが保有する新日鐵の営業秘密だと言ったために発覚したと先日の弁護士会の研修で聞いた。

今後同様の事件が起きるのをどうやって防止するか。
営業秘密の持ち出しが刑事事件となることを世間に示すことで抑止力となるか。



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