4月17日から20日にかけてソウルで開かれたInter Pacific Bar Association (IPBA) の第23回大会に行ってきました。
環太平洋ということなので、アジア、オーストラリア、北米からの参加をイメージしていましたが、実際に行ってみると、インド、イスラエル、南米、欧州、とほとんど世界中から弁護士が集まって来たという感じでした。参加者は1200名を越えたそうです。
IPBAに参加するのは初めてで、当初は様子がわからなかったのですが、周囲を見ると、レセプション、昼食、コーヒーブレイク、ディナー、あらゆる機会をとらえて、名刺を交換し、話をしているので、私もそれを見習うことにしました。アピール力、コミュニケーションスキル等、もっと練習をしなければということがわかりました。
韓国の弁護士は留学している人が多いと聞いていましたが、英語だけでなく、日本語を流暢に話す人も多く、国際的に展開している事務所とはこういうものか、と感心しました。
会議は、複数の委員会の報告が別の部屋で同時進行でした。
国際仲裁委員会を中心に報告を聞いていました。内容も面白かったのですが、報告者の国籍、事務所所在地もさまざまで、報告や質問にお国柄がしのばれることもあり、とてもエキサイティングでした。
女性と仲裁というテーマでは、女性の裁判官比率と仲裁人(arbitrator) の比率を比較し、女性が仲裁人に選ばれていない理由や選任のあり方について真っ向から対立する意見の2つのグループに分かれて議論していた企画があり、一面的な議論でないのが面白いと思いました。
終了後、報告者の一人に、あなたの議論に勇気づけられた、と挨拶に行くと、イギリス社会で女性が弁護士として働くのも大変、と言われ、マーガレット・サッチャーの映画の1シーンを思い出し、大変だろうなあと思いました。
同じく報告者をしていたインドの女性弁護士が着ていた白いサリーが美しく優雅だったのも印象的でした。
建築紛争仲裁事例検討会では、仲裁合意、仲裁手続き等の注意点について報告がなされていると、アメリカの弁護士から、こういう紛争は仲裁より調停(mediation)の方がよい、magic hourに調停をしてうまくいけば、双方の関係が深まり、将来のビジネスに有益である、という発言がありました。調停を日本的な解決だと思っていたので、この発言はちょっとした衝撃でした。別のアメリカの弁護士も、アメリカではこのようなケースは調停にする、と言っていたので、話し合いで、双方丸くおさめる、というのは、日本的、というより、理想的な解決なのだと思いました。
その他、APEC特別委員会報告で、中小企業の支援が世界経済にとっても重要である、として中小企業が国際取引にのりだすための支援案の報告がなされていたのも面白いと思いました。
外へ出て、人と会う、というのは本当に刺激的です。
IPBA 2013の内容について、大阪弁護士会の国際取引法研究会で9月に数名で手分けして報告をする予定です。