日本交通技術(JTC)が外国の公務員に事業の受注の見返りにリベートの提供をしていたことが発覚したとの記事。
事業の受注の見返りにリベートを渡すことは、公平な競争を阻害する行為であり、国内法では、不正競争防止法18条(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)で禁止されている。
条文はちょっと読みにくいが、分解すると以下のようになる。
何人も、外国公務員に対し、
国際的な商取引に関し
営業上の不正の利益を得るために、
外国公務員に、その職務に関する行為をさせ、
もしくは、させないこと
または、
その地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ
もしくは、させないこと
を目的とし
金銭その他の利益を供与し、
または、その申し込み
もしくは、約束
をしてはならない。
利益供与の対象は外国の公務員のみであり、私人間のリベートは含まない。(英国法では私人間を含む)
禁止されている行為は、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得る目的とするものであり、商取引に関しない事柄について賄賂を渡すことは規制の対象外である。
米国では連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)で、外国公務員に対する贈賄と禁じているが、1つの除外規定と、2つの抗弁事由が置かれている。
政府のルーティン行為は規制の対象から除外する。
抗弁事由
1 当該国でその支払いが合法であるとの法律(written law)があるとき
2 製品やサービスのプロモーション、デモンストレーション等のための旅費、宿泊費など善意の合理的な支払い
FCPAの名宛人は、SECに書類提出義務のある会社、米国企業、米国市民、米国居住者、米国の領域内で行為する非米国企業及び非米国人とされている。
なお、米国内での行為には、送金にあたり米国内の銀行口座が関与しても該当するとされる。
米国企業でコンプライアンスを担当する弁護士とFCPAについて話をする機会があったので、同法がすべての外国公務員への贈賄を規制していない理由を尋ねたところ
1 国際取引の公正な競争を保護することが目的
2 贈収賄が常態化している国で米国企業の関係者のみすべての贈賄を禁止すると、米国民に身体、生命の危険がお よぶおそれがあるから
とのことだった。