2014年7月11日金曜日

流出した顧客名簿を他社が使用したことの立証への備え

ベネッセから流出した顧客名簿をジャストシステムが使用したとのニュース。

業者にとって顧客名簿は財産である。潜在的顧客の住所等を収集するのには時間と手間がかかる。また、競合関係にある他社の顧客の住所や氏名がわかれば、他社から顧客を引き抜くことも可能になる。そのような名簿は、秘密として管理されていれば、営業秘密として法律で保護される対象である。

とはいえ、競合他社が自社の顧客に広告を送っただけでは、自社の名簿が相手の手に渡ったことの証明にはならない。独自に作成した名簿だと言われと証明が困難である。

自社の名簿に特徴的な内容が、相手が使用した名簿に含まれていれば、自社の名簿が使用された可能性が高まる。

今回の事件を報じる記事には、一部の顧客が実際と異なるマンション名を伝えていたのが含まれている、記載されているのは、名簿が流出したことを示唆するものだろう。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140710/crm14071020430016-n1.htm

名簿が流出した場合に備えて、会社の役員の自宅を顧客名簿にいれておく、住所の一部を意図的に間違えたものを入れておく、という方法があるため、実際と異なるマンション名は、顧客の住所ではなく、会社によって意図的に記載されていた会社関係者のものかもしれない。

なお、ジャストシステムは名簿業者から買ったと言っているとのことだが、名簿が不正に取得されたものであれば、「業者から買ったから問題がない」ということにはならない。

不正競争防止法2条には、不正取得が介在したことを知って、もしくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得する行為、不正開示行為があったことを知って、もしくは重大な過失により知らないで営業秘密を使用する行為も不正競争となるとされている。

顧客名簿が不正取得、不正開示されたものであることを知っていた場合だけでなく、知らなかったことについて重大な過失がある、とされれば、その取得や使用は不正競争行為となる。

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