2015年7月16日木曜日

ルピア使用の義務付け(インドネシア)

インドネシア中央銀行が2015年7月1日から国内取引にルピア使用を義務付けたとの記事

https://www.jetro.go.jp/biznews/2015/07/f95e7aa92f59a648.html

ルピアの為替レート安定を目的とするものとの解説がなされている。
ルピアの需要を高めると同時にドル需要を抑えることで、ルピアが下がるのを止めるということらしい。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OP23Z20150609

「主権を守る意味合いがある」とのコメントがなされている。

我が国ではどうなっているかというと、
民法403条 外国の通貨で債権額を指定したときは、債務者は、履行地における為替相場により、日本の通貨で弁済することができる
とされている。

文言上国内取引に限定されていないし、「履行地における為替相場」となっているから、外国が履行地であっても、日本の通貨で弁済ができるように読める。
国家主権、国内における通貨の強制通用力というのが背景にあるなら、国内取引に限定されていなければならないはずだから、理由は別にあるのだろう。

402条1項但し書きには、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない、として、他の種類の通貨での弁済を認めず、3項で、外国の通貨の給付を債権の目的とした場合に1項を準用するとされている。

このことから、契約で、外国の通貨での給付が義務づけられていれば、指定された外国の通貨で給付しなければならず、403条は、外国の通貨で額を指定しているが、外国の通貨で給付をすることまで規定していない場合に、日本の通貨で支払うことができる、と読むことになるのだろう。

そうすると、契約において、支払額をドルで指定しただけだと、円で支払がなされるのを拒絶できず、ドルでの支払いを確実にしようとすれば、支払額をドルで指定したうえ、ドルで給付する、としておく必要がある。

403条の文言は、「債務者は」となっているので、外国通貨で払うか、内国通貨で払うかの選択ができるのは債務者のはずだが、昭和50年の最高裁判決は、債権者は、外国通貨、内国通貨いずれによっても請求することができ、債権者が外国通貨で請求したときのみ、債務者は内国通貨で支払うことの選択ができ、債権者が内国通貨で請求したときには外国通貨での支払いができない、とした。

また、403条には換算の基準時という論点もある。

さて、インドネシア。
インドネシア国内で買い付けを行う輸出業者はルピアを準備する必要があり、また、進出企業がインドネシアで営業所の賃料を払うにもルピアを準備する必要がある。
為替変動が大きいと、ルピアで資産を保持するのもリスクだし、支払いにあたりいつ換算するかで価格が動きやすい。

それではドル決済を認めた場合、どうなるだろうか?
国内取引きでドルがルピアと並んで流通し、ドルの流通量がかなりの割合を占めると、中央銀行の金融政策はルピアにしか及ばないので、ほとんど効果がなくなるおそれがある。
ルピアの流通量をコントロールしても、国内にはコントロールの及ばない別の通貨が流通しているからである。

ここまで書いて、ギリシアはどうするのだろうと思っていたら、こんな記事が出ていました。
ギリシア、一時的なユーロ圏離脱のほうが適切

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PQ0EG20150716

ユーロ圏を離脱すれば、ドラクマに戻り、ドラクマが安くなれば、輸出(あるいは観光産業)が好調となり、経済状態がよくなると期待できるのでは?

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