2015年6月9日火曜日

紛争鉱物と人権

米国における紛争鉱物に関する開示規制の立法趣旨(ドッドフランク法)は、コンゴ民主共和国の武装集団の資金源を断つこと、とされている。

紛争鉱物に関する開示が資金源を断つことにどのように役立つのだろう?

規制の概要を見ると、まず規制対象となる紛争鉱物は、コロンバイト・タンタライト。スズ、金、タングステン。

スズ、金、タングステンは聞いたことがある鉱物名だけど、コロンバイト・タンタライトというのは高校の授業でも聞いたことがない。
用途例を見ると、携帯電話、ジェットエンジン、カメラレンズ、インクジェットプリンター、PC、TVとなっている。日常生活のいたるところにありそう。

これらの鉱物を使用して製品を生産している企業は、原産国を調査をしなければならない。

調査の結果、産地がコンゴやその周辺ではない、か、再生利用品、スクラップ起源である場合はコンフリクト・フリーとなる。
再生品・スクラップ起源なら、もともとがコンゴでもかまわないらしい。というより、むしろそういったものの利用を促進することで武装勢力の資金源を断つことができるからだろう。1度は代金を払ってしまったものは仕方がないから、再利用して使うことで将来の資金源を断つという合理的な判断。

それでは、紛争地から武装勢力に金を払って買い付けてきた鉱物ならどうするのか?

紛争鉱物報告書に、製品、加工施設、原産国、採掘所または原産地を確定するための取り組みを記載すること、となっている。

企業の義務は報告書に書くだけ。紛争地から買い付けてきた鉱物を使用して製品を作ることにはなんら規制はない。

だだし、この報告書は、一般市民が入手できるようにしなければならない、とされている。
市民が不買運動などを通じて企業に圧力をかけることを期待するということだろうか?

米国国務長官が戦略を議会の委員会に提出する、ともされているが、戦略といっても、コンゴおよびその周辺国の領域内で産出されるされる鉱物の取引きであり、国際的な協力、平和維持活動を通じてということになるだろう。

武装勢力および人権侵害を支える商業活動をしている個人や企業に対して講じうる懲罰的措置の説明というのもあるので、米国の管轄権および法がどの範囲に及ぶのか、というのが興味深い。






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