国際裁判管轄(家族法)の改正にあたり、大阪弁護士会から意見書を提出することになり、PTで親子関係のパートを担当。
集中検討会などを経て、各担当者が原稿を提出し、順調に仕上がっていたところ、この意見書の成年後見のパートに某委員会から反対意見が出された。
日本において登記された任意後見契約に関する手続きについて、日本の裁判所が管轄を有する、という意見だったのだが、任意後見人候補者が日本に居住していること、という要件を加えるべきだとの意見が出された。
その理由は、任意後見人が任意後見契約登記後に外国に転居した場合、その者を成年後見人とすることは、契約後の事情変更により、委託者の契約時の思惑と異なる可能性がある、成年後見人が外国に居住していると、後見監督人の監督が及にくい、という2点だった。
契約時に予期しない転居かもしれないが、予定されていたかもしれない。もし予定されていたのであれば、そういった事情のもとで委託していたのに、委託した人が成年後見人にならない、という事態が生じる。
受託者を選任することが委託者の利益を害する場合であれば、裁判所は選任をしない、という判断をすればよいだけである。
また、法律上、本人のために特に必要があれば、法定後見開始決定をすることができる、とされているし、後見監督人からの任意後見人解任請求の制度もある。
反対意見は、当該任意後見人を成年後見人とすべきか、ということと、裁判管轄権の有無を区別しそこなっているように思われる。
日本に登記されている任意後見契約に日本の裁判管轄権が及ばないことがある、ということには違和感がある、というより大いにおかしい。
PT意見に対する他の委員会の反対意見にさらに反対意見を提出するというのはどうかとも思ったが、上記理由をPTのMLに提出したところ、PTの意見として提出しようということになった。
無事、原案どおり常議委員会を通過したとの連絡があった。
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